レジ袋有料化へのいきさつ
コンビニやスーパーなどで配られる、いわゆるレジ袋が2020年7月に有料化してから約2年が経過しようとしています。
- プラスチックゴミを減らすため
- 石油原料であること(有限であり地球温暖化の原因ともなる)
- ゴミ処理の際にCO2が排出される
など、有料化の背景は数々あります。みなさんも考えたことがあるのではないでしょうか。
深刻なレジ袋の海洋ゴミ
そんなレジ袋の有料化の背景ですが、中でも海洋ゴミとして水中を漂うレジ袋のゴミは、近年問題としてたびたび取り上げられる世界的な課題でもあります。使用後のレジ袋は、ゴミとしてリサイクルの処理、あるいは焼却処理が行われればまだ良いのですが、ポイ捨てや風雨にのって漂流したレジ袋は、その姿を保ったまま、陸上から風や川に流されて海に漂流していきます。環境汚染であるだけでなく、漂流する過程でかぶさったり誤飲した生き物は悪ければ死んでしまいます。
プラスチックゴミの環境への負荷について
このように、海洋ゴミとして漂流するレジ袋は、自然分解されることがありません。その姿のままのレジ袋は、生き物にとっては生命を脅かす大変危ない存在です。またプラスチックゴミ全体としては、自然分解で極限まで小さくなったプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれ、これは海流に乗せて世界中を漂流する様になり、環境汚染であるとともに、魚や珊瑚などに取り込まれて死んでしまうなど、生態系に悪影響をもたらします。そればかりか、中には食物連鎖で人間の口にも入ってくるという問題もはらんでいます。
こうした事を背景に、近年のプラスチックゴミ(特に海洋プラスチックゴミ)に関する問題は、2015年のG7を皮切りに、その後のG20などでも議題にのぼる世界的な課題として、各国でプラスチックゴミの排出に関わる決め事や規制の動きが出てきました。レジ袋についても欧米諸国は2010年頃から徐々に有料化などの規制の取り組みを開始してきました。
レジ袋の有料化は、このような世界的なプラスチックゴミの規制の流れを受けたものでもあります。
レジ袋のゴミとリサイクル
我が国では、レジ袋を「プラスチック製容器包装」という種別で指定し、分別ゴミとして出すとリサイクル出来るように、「容器包装リサイクル法」が1995年に制定されました。現在のプラスチックゴミの規制とは全く異なる国内事情によるものです。当時のゴミ問題としては、大量消費大量廃棄型の社会を脱却し、再生利用や廃棄物の排出抑制といった循環型の社会への転換、またゴミの最終処理場である埋立地が減ってきた事などがありました。ゴミの問題の歴史は、戦後の復興の時期までさかのぼるもので、昔から日本独自のゴミ問題と行政との攻防といっても過言ではない歴史があったんですね。
レジ袋は使い捨て用途で作られたものですから、使用後はゴミとして捨てられます。その際に、
- プラスチックゴミとして分別してゴミ出しし、リサイクル処理される
- 燃えるゴミとして焼却処理される
- 道端などてポイ捨てされる
ポイ捨てはしてはいけませんが、あえて書きました。使用後にはこのようなルートがあります。やはり1番良いのはリサイクル処理ということになります。ゴミの分別というひと手間が、とても大切になってきます。燃えるゴミというのはCO2排出がつきまといます。ポイ捨ては前述のように陸上の風雨にのって、または川などを経て最終的に海まで漂流して、その形のまま残り、あらゆる自然の環境を、また生き物をも破壊する凶器となります。
分別ゴミによってリサイクル処理されるとレジ袋は何に生まれ変わるのでしょうか。まず市町村が回収→更なる分別→圧縮加工という処理をし、次にリサイクル工場で不純物の除去→粉砕圧縮加工という処理をして、最終的に約5割はコークス炉化学原料として鉄や再生エネルギーの原料となるガス、約4割は新たなプラスチック原料になります。ゴミを減らし、循環型の社会へと近づけて行く事は、環境保全の観点で大きな意味のある事です。
レジ袋有料化の効果
2020年7月のレジ袋有料化から2年近くが経過し、消費者の行動選択のデータが蓄積されてきています。皆さんもコンビニなどで、レジ袋を買ってますか?レジ袋の代わりにマイバッグ(エコバッグ)を持参しますか?
有料化の効果測定は各所で行われています。環境省の2022年1月のまとめによれば、レジ袋の辞退率は、コンビニで有料化前に約23%だったのが有料化後で約75%に、スーパーで有料化前に約57%だったのが有料化後約80%に、ともにかなりの辞退率となっています。またレジ袋の国内流通量は、有料化前に約20万tだったのが有料化後は約10万tまで、半分に減りました。
レジ袋有料化の効果については、さまざまな意見があると思いますが、この数字を見ると効果は概ねポジティブだった事が分かります。
ただ、データが存在しないので評価できませんが、筆者がそうですが、ゴミ捨て用にレジ袋に似たポリ袋を別途購入するようになったという人も居ると思います。結果的に使い捨てポリ袋全体の数が、どう推移したかは気になるところではあります。
とはいえ、我々消費者がこのレジ袋辞退の選択を迫られた結果、とう行動したか、またはこれから行動するのかが問われました。環境にやさしい行動選択はこれからますます大切になっていきます。この消費者意識の変化という点で言えば、レジ袋有料化の効果はあったと言えるのではないでしょうか。
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