地球温暖化

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地球温暖化

地球温暖化は、近代(特に18世紀以降)の人類活動により産出されてきた温室効果ガスが、地球の平均気温の上昇に関与してきた過程であり、過去の記録とともに観測されています。気候変動というワードが最近盛んに取り上げられますが、地球温暖化はこの気候変動の中心的テーマと言えます。

地球温暖化のきっかけを振り返るとき、人類が最初に化石燃料を燃やす事で工業化という大転換を成し遂げた18世紀の産業革命まで振り返るべきか、と思いますが、実際はどうだったのでしょうか。IPCC(「気候変動に関する政府間パネル」~地球温暖化についての科学的知見を持つ専門家から成る)の最新の第6次報告書の暫定訳(2021年9月に公開)によると、1930年頃から急激に気温の上昇が始まったとされています。

出典: IPCC AR6/WG1報告書 SPM暫定訳(文部科学省及び気象庁)より、図SPM.1-bを転載

産業革命の初期から約180年ほど経過してから実際の気温の上昇が始まったという事になります。産業革命の初期18世紀のイギリスで発明された化石燃料による蒸気機関車や工業化といった波が世界中に伝播するのに約100年程度を必要とした事実から考えると、結果として気温の上昇がみられるまでそれくらいの時間が経過したと言うことはある程度妥当なのだと考えられます。

温室効果ガスと平均気温の上昇

地球温暖化の原因として最も危惧されているのが、温室効果ガスの排出です。温室効果ガスは、地球の表面にある大気の層で、地表から反射される太陽光のうち、赤外線を吸収する気体のことです。よく知られている二酸化炭素(CO2)以外にも、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フロンガスなどがあります。

CO2の人類活動由来の発生源としては、化石燃料の燃焼(電気を作る火力発電所、自動車・バス・飛行機からの排気、工場、暖房系のストーブなど)や、野焼きなどがあります。

CO2に次いで多いメタンですが、実はCO2より温室効果が28倍も高い事が分かっています。人類活動由来の主な発生源は、畜産動物の生体から発生される以外にもゴミ集積場や、化石燃料の採掘の場面でも発生しています。

出典: IPCC AR6/WG1報告書 SPM暫定訳(文部科学省及び気象庁)より、図SPM.2を転載

地球の平均気温の上昇に、温室効果ガスがどの程度影響を与えてきたのかについて触れたいと思います。最新のIPCC報告書によれば、産業革命以前の世界と比較すると、2001年〜2020年の20年間の世界平均気温は0.99℃高く、2011年〜2020年の10年間は1.09℃高かったとされています。直近10年間平均で上昇幅が上がったということになります。具体的な数値目標では2015年のパリ協定で、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする、と掲げられています。すでに1.09℃まで上がってきたことを踏まえると、あとわずか0.4℃の上昇しか許容されていないという、厳しい現状の裏がえしとなっています。

地球温暖化が引き起こす現象

地球温暖化をその原因視点から説明してきましたが、今度は視点を変えて、地球温暖化によって引き起こされる現象(結果)に目を向けてみます。

地球温暖化は、空気の層である気温の上昇だけにとどまらず、海水温も上昇させています。これは上昇した気温熱を海洋が吸収しているためと考えられています。海水は一旦吸収した熱を長期間かけて海流に乗せていきます。海水温の上昇により海水が膨張する事で、海面上昇が起きています。また海水温の上昇は海水中の酸素や二酸化炭素の濃度を減らし、その生態系に影響を及ぼします。そして海面の上昇は、陸地の沿岸部や小さな島などに影響を及ぼすと予測されています。

地球温暖化は、気候変動の中心的なテーマであり、近年激甚化する異常気象のリスク要因でもあります。日本でもご存知の通り、ゲリラ豪雨や台風の強大化などの暴風雨や洪水などが起き、自然災害を引き起こすという場面は日常的に経験することとなっています。

地球温暖化は、人間活動が要因とされますが、その影響は人間だけにとどまらず、さまざまな動植物にも及んでいます。中には絶滅してしまうものもあり、その影響力は未解明な部分もありますが、計り知れない事ははっきりとしています。今どのように行動するかによって、地球の将来が決まってくると言って差し支えないと言えるでしょう。

我々に出来ること、取り組み

私たち個人に出来る地球温暖化の流れを止めるためのCO2排出削減の取り組みはいくつもあります。

  • 再生可能エネルギー重視の電力会社を選ぶ
  • 自前の太陽光発電を取り入れる
  • 省エネ・エコを心がける
  • EV(電気自動車)やハイブリッドカーに乗り換える
  • ガソリン車の利用は使用頻度を減らし、公共交通機関も利用する
  • ゴミの量を減らし、リサイクルを心がける
  • 環境債(グリーンボンド)や脱炭素銘柄に投資する

「脱炭素(カーボンニュートラル)」=CO2排出削減は、地球温暖化の流れを抑止するキーとなる解決策の一つです。

脱炭素(CO2排出削減)の効果が大きいところ、言い換えるとCO2排出量が大きいところとしては、火力発電所があります。電力自由化により、再生可能エネルギー由来の電力(太陽光、風力、水力、地熱などによる電力)を選べる様になりました。火力発電依存度の高い電力を選ばない=再生可能エネルギー重視の電力会社を選ぶ事により、CO2排出削減に大きく貢献できます。また、太陽光発電(ソーラーパネル)を自前で設置して発電能力を持つ事を検討する事や、火力発電由来の電力をできるだけ使わない様に省エネ・エコを心がける事も脱炭素の貢献に寄与します。

ガソリン車の排気ガスにもCO2が含まれるので、これを選ばない、電気自動車(EV)やハイブリッドカーにする事もCO2排出削減に貢献する事になります。ただ注意しなくてはならないのは、電気自動車の場合、その電力が火力発電由来ではない再生可能エネルギーである事も重要となります。また、ガソリン車であれば、使用頻度を減らし、代わりに電車やバスなどの公共交通機関を利用することも貢献に寄与します。

その他にも身近なところでは、ゴミの量を減らす事も挙げられます。ゴミの焼却時に発生するCO2を減らすためです。ゴミを減らし、代わりにリサイクルを心がけるように、ライフスタイルを見直す事が、脱炭素にも貢献します。我々一人ひとりが少しづつ協力すれば、かなりの量のゴミの削減につながります。

再生可能エネルギー関連をはじめとした脱炭素銘柄への投資という選択肢もあります。近年隆盛の環境債(グリーンボンド)やESG投資(信頼できる投資先)も脱炭素と無関係ではありません。人間活動の最たる経済活動ではありますが、この様な選択をする事は脱炭素の取り組みを考える際に合理的であり、悪くないと思います。

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